
- 「常駐先で長年働いていてスキルアップができない…」
- 「日々激務に追われていて仕事がつらい…」
- 「何の技術も身についておらず、このままだと会社の戦力にならない」 など
IT業界、特にSEとして働いているけれど、転職を考えているという人もいるでしょう。システムエンジニアとしてキャリアを積んできたものの、SEの労働環境は過酷であり、それに見合う給与がもらえることも少ないため、一般的に離職率が高く、もうIT業界はこりごり!自分も転職したい!とお悩みの方も多いことでしょう。
では、IT業界からの転職先としてはどのような業種や職種があるのでしょうか。本記事では、IT業界のSEから転職を考えている人におすすめの転職先をご紹介します。
また、IT業界から今すぐ転職したいという方でも、転職する上で知っておいた方がよい転職ノウハウもご紹介しますので、現在抱えている悩みと将来を天秤にかけて、『転職しないという選択肢』もご紹介します。
IT業界から転職した先輩SEたちの実態|新たに選んだ転職先はどこ?
まずは、IT業界から転職した人がどのような転職先を選んでいるのかを業種・職種別に確認してみましょう。
転職先の業界として選ばれているのはメーカーや流通
大手人材会社のエンジャパンが2020年2月に発表したデータによると、『48%の転職コンサルタントが「異業種転職をしたミドルがいる」と回答』したことが分かっています。
図1:異業種・異業界企業への転職を実現された方は?
図2:ミドルの転職者は、どのような業種が多いか?
【引用:異業種転職の実態調査。転職コンサルタントの48%が「異業種転職を実現したミドルがいる」と回答。―「ミドルの転職」コンサルタントアンケート集計結果―】
メーカーや流通・小売サービスを目指す方が多いようですが、このデータだけではIT業界からの転職をした層が分かりませんので、下記で細分化してご紹介します。
コンサルティング|SEからの転職が最も多い
株式会社リクルートの発表している「リクルートエージェントの転職決定者数の分析」でも、異業種転職の水位はうなぎのぼり。
2009年から比較しても、約3倍の方が異業種への転職を選択しているようです。ここのデータはエンジャパンとも一致していますね。
【引用:2020年 転職市場の展望】
中でも、最も求人需要と転職先として選ばれているのは、コンサルタント業界です。「IT・通信」からコンサル業界への転職者数は、この8年間で5.6倍、異業種転職全体の3倍を大きく上回っています。
企業は総じて、ITの経験のある方を求める傾向が強 い。コロナ禍以前から需要は高かったものの、人々の 仕事や暮らしにオンラインが溶け込んでいくことで、 課題や新しいサービスの需要が高まり、さらにITの知 見が求められるようになってきている。
【引用:2021年 転職市場の展望】
高い職種経験を持っているならば、転職することで、年収が上がったりキャリアアップにつながったりするケースが多いでしょう。
SEの方の転職先として、職種を変えつつも同じ業界が選ばれるのは、専門性や経験を活かして活躍してほしいという企業ニーズの表れでしょう。
Webエンジニア|ネットサービスの運営企業
いわゆるメディアを運営した広告収益モデルや、ネットサービスを運営する企業への転職ですね。同じIT業界という括りではありますが、システムエンジニアとウェブエンジニアでは、役割も業務も違うのはあなたも認識している通りです。
ネットサービスの競争激化はとどまることを知らず、Webエンジニアは2021年以降も引き合いは多く、ネット企業以外からもラブコールが絶えない⼈材獲得戦争が続きます。その要因の一つに、働き方改革に伴うリモートワークの推進や、多様な働き⽅を⽀援する動き、⼿当・給与改定等もあります。
引き続き、DX関連、通信では5G関連、テレワーク・ オンラインサービス増加に伴うインフラ系のエンジニア 需要が高い。
【引用:2021年 転職市場の展望】
サービス業
人材会社エンジャパンの転職データにも面白いデータがあります。
業種間の流動化を約7千人のデータから分析したところ、特に人材の流出入が多かったのはIT・通信で全業種平均の約2倍。その転職先の24%が『サービス業』で最も多く、メーカー(20.6%)、小売り(11%)と続いています。
2019年のサービス業の中途IT人材採用計画でも、大幅に増やすが7.0%、やや増やすが28.0%、同等が51.6%ですので、増やす全体を見ると約35%の人員が確保されていることでしょう。
いま狙い目!SEの転職におすすめの業界は『教育・人材』
今まで、パソコン教室やスキルの個別指導塾では、スタッフが採用・教育のフロントに立っていましたが、「ED-Tech」と呼ばれる領域でIT化が進んでおり、WebエンジニアやUIUXデザイナー、コンテンツ開発のPM等、IT⼈材の採⽤が加速しています。
そのため、学習塾の内容も変化しており、コーディング技術、インフラ系、組み込み系エンジニアを目指す人のために、映像やITを活⽤した新しい教育コンテンツの開発・運用に載せる知識のあるエンジニアを積極的に募集しています。
また、逆張りの発想ですが、IT人材の採用を斡旋する企業に転職するというのも一つ狙い目です。
IT⼈材の確保・採⽤ニーズは、向こう20年は⾼まっていくでしょうから、エンジャパン・リクルート・パソナグループなどの人材紹介業もどんどんIT・AI化していきます。
『AMBI』というエンジャパンが運営している転職エージェントサイトも、AIが個人の趣向・希望を読み取って求人の紹介をする機能を有しています。非公開求人でも紹介されていますので、興味があれば探してみてはいかがでしょうか。
IT業界・SEによくある悩みと状況別の転職先
IT業界からの転職を考えている人は、それぞれ現在の仕事に悩みを抱えていることでしょう。
転職先を考える際に、あなたの悩みを確認することは非常に重要です。なぜなら、抱えている悩みごとに、転職先の方向性が変わるからです。
ここでは、まずIT業界で働いている人が持つ、よくある悩みについて紹介します。あなたの抱えている悩みと比較しながら読んでみてください。
そもそもSEに向いていないと気づいてしまった場合
SEとして働いているうちに、「自分はSEに適していないんじゃないか?」という疑問を持ち始める人も少なくありません。
そんな疑問を持つのにはいくつかの理由があります。具体例としては以下のようなものが挙げられます。
- ITに興味が沸かない
- 技術的なことについていけない
- 業務内容が思っていたものと違う
IT業界に就職してみたものの、実際に働いてみたらまったく興味が沸かなかったという人もいるでしょう。IT業界では日々新しい技術が開発されており、いろいろなことを学びながら仕事をします。ITに興味が沸かなければ、そのようなことは苦痛でしかないはずです。
また、プログラミングができなかったり業務内容が難しかったりなど、技術的なことについていけないという人も多く見られます。
プログラミングに苦手意識や興味が持てない
プログラミング自体が苦手な場合には、一度転職は考え直した方がよいかもしれません。
なぜなら、今現在プログラミングが苦手だとしても、学習次第でいくらでも能力は伸びるからです。もし、自己学習での限界を感じている場合にはCodeCampなどの、マンツーマンのプログラミングレッスンを受講するとよいでしょう。
また、クライアントの業務が複雑でよく分からないという人もいます。特に金融業界をクライアントに持つ企業は、それが顕著なことが多いようです。
業務が複雑である場合には、働きながら身につけていくか、業界の専門書などを読んで少しずつ知識を増やしていきましょう。
上流工程ではなくエクセル仕事ばかり
さらに、業務内容が思ったものと違うというケースもあるでしょう。
特に、SIerの構造として、大手は主に設計を担当し、中小がプログラミング、実装、テストなど、上流工程と下流工程が分けられていることが一般的です。
プログラミングを覚えたかったのに、「どうでもいいようなドキュメントを毎日Excelで作成しているだけ…」なんてことも少なくありません。
SEに向いていないと考える人におすすめの転職先
IT業界に興味がなかったり、プログラミングができなかったりなど、SEに向いていないと考える人は、思い切って異業界や異職種への転職を考えましょう。
転職の基本は、業界知識や職種経験を活かすことであるとはお伝えしましたが、もし仮にあなたが就職3年以内の『第二新卒』であるならば、まったくの異業界・異職種への転職も困難ではありません。
もし、あなたが第二新卒でないならば、営業への転職がおすすめです。特にIT業界の営業へ転職することを強くおすすめします。
一般的に営業は新卒で入るため、経験を経ても業界知識は増えますが、SEの職種知識が増えることはありません。
SEから営業へ転職すると、SEの知識があることにより、クライアントへさまざまな提案が可能になるはずです。
過酷な労働環境から逃れたい場合|社内SEなど
サービス残業なんて当たり前で、納期前になったら一週間会社に泊まり込みなど、過酷な労働環境に悩んでいる人もいるでしょう。
SEの仕事は3Kならぬ7K(きつい・帰れない・給料が低い・規制が厳しい・休暇が取れない・化粧が乗らない・結婚できない)であると言われたりもしています。
過酷な労働環境から逃れたい人は、定時に帰れたりサービス残業がなかったりする業種・職種に転職すべきだと言えます。
過酷な労働環境から逃れたい人におすすめの転職先
過酷な労働環境から逃れたい場合には、社内SEへの転職をおすすめします。社内SEとは、主にIT業界でない企業で、社内の問題をITで解決する仕事を言います。
仕事の内容としては、パソコンなどのセットアップから社内インフラの構築保守など、多岐に渡り、社内SEの仕事を明確に定義することは困難です。
あらゆる社内システムに幅広く対応する業務であると言えるでしょう。
社内SEの仕事として、具体的には以下のようなものが挙げられます。
- 勤怠システムや社内ポータルなど社内システムの構築・運用
- コーポレートサイトなど社内インフラの構築・運用
- 効率化のためのIT企画・管理
- PCの手配やセキュリティ・トラブル対策
社内SEの労働環境は、転職先の企業によって決まります。SIerなどと違い、厳しい締め切りなどに追われる可能性は一般的に低いため、長時間にわたる残業といった過酷な労働環境から抜け出せるでしょう。
会社の評価に不満がある場合|フリーランス/Sler
仕事で成果を出しているにもかかわらず、それが給与に反映されなかったり昇給しなかったりすることに悩んでいる人もいます。特に中小のSIerでは、優秀なSEに対してそれに応じた報酬を与えるといったケースは稀であると言えるでしょう。
そのため、会社の評価に不満がある場合には、ご自身のスキルを高く買ってくれる同業種・同職種への転職がおすすめです。
会社の評価に不満がある人にオススメの転職先
会社の評価に不満がある場合には大手SIerか、フリーランスエンジニアへの転職をおすすめします。
会社の評価に不満があるということであれば、しっかりと成果を評価してくれる企業に転職すれば問題ないでしょう。
成果をしっかりと評価してくれる大手SIerか、ご自身の成果によって給料が上がるフリーランスエンジニアが転職先としては最適ではないでしょうか。
大手SIerであれば、一般的には経営基盤・人事制度がしっかり整備されている可能性が高く、成果を出せば給与に反映されたり、キャリアアップしたりする可能性が高まるでしょう。
また、フリーランスエンジニアは個人の能力に応じて給与が決まるため、SEとしての能力に自信があるのであれば、転職により一気に年収が高くなります。
フリーランスとして仕事を受注できるか心配な人もいるかもしれませんが、現在ではクラウドワークスなど、案件を紹介してくれるサービスも多数あり、働きやすい環境が整っていると言えます。
スキルアップができない
SEとしてさらに能力を高めたい、新たな技術をどんどん学んでいきたいけれど、日々の仕事が忙しくスキルを磨くことが困難であると悩んでいる人もいます。
特に、SIerで毎日長時間働いている人にとってはスキルアップするための時間を確保することはなかなかできないはずです。そのような人は、ご自身のスキルを伸ばせるように、同職種で異業界への転職がおすすめです。
スキルアップしたい人におすすめの転職先
スキルアップしたい人には、WebエンジニアやITコンサルタントへの転職がおすすめです。
Webエンジニアとは、自社でWebサービスを提供している会社でWebアプリケーションを開発する仕事を言います。Webアプリケーションの具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- FacebookやTwitterなどのSNS
- 楽天やAmazonなどの通販サイト
- はてなブログやAmebaブログなどのブログサイト
Webエンジニアは、クライアントから発注があったものを作るのではなく、企画や開発、運用まですべて自社で行いますし、日々新しい技術を取り入れサービスを向上させます。
そのため、スキルアップしたい人に最適な転職先であると言えるでしょう。
一方、ITコンサルタントとは、ITを用いて企業の経営課題を解決する人を言います。企業の経営方針に合わせて、ITを使ってシステムなどの開発を行い、システムの最適化や経営改善を図ります。
ITコンサルタントは、ITとしての高い技術だけでなく、問題解決のための論理的思考力や多数の技術者をまとめるマネージメント能力も必要となるため、総合的に高い能力を必要とする職業です。
ITに全く関わらない業種もある
営業職
SE、IT業界でも営業職はありますが、自動車、保険、不動産など商品やサービスはさまざまです。IT機器販売などであれば、これまでのIT知識が重宝されるかもしれません。
事務職
事務職は、データ入力や文書作成、資料作成など、ルーティーン化している仕事も多いので、せっかく磨いたスキルが無駄になるかもしれないという不安はありますが、場合によっては、会社のWebサイトの管理やIT担当を任される場合もあります。
人事・労務など
今後社内の人材教育分野においても注目されるはずの職種です。
人事労務と言っても種類があり、『採用企画』『労務(勤怠など)』『人事評価』『広報』など、会社にとって実は重要なポジションばかりです。
特にネットのベンチャー企業では、ほとんど人事労務の整備などがされていないことの方が多いので、SEをはじめ、IT経験者を求める声は多く、重宝される傾向があります。
IT業界・SEからの転職におすすめの転職エージェント
IT業界から転職を考えている場合には、転職エージェントを利用することをおすすめします。転職エージェントとは、あなたと転職先をつないでくれるサービスで、以下のようなサポートをしてくれます。
- あなたのキャリアの洗い直し
- あなたの強みの分析
- 面接対策
- 給与の交渉
つまり、転職エージェントを利用することで、転職に必要なサポートを無料で受けることができるのです。転職先を迷われている方も、あなた専任のカウンセラーに相談することで、ご自身に最適な転職先が見つけられる可能性が高まるでしょう。
ここでは、IT業界からの転職におすすめの転職エージェントを紹介します。
マイナビIT AGENT
マイナビIT AGENTは、マイナビが運営するITに特化した転職エージェントです。求人情報の8割が非公開求人となっており、大手からベンチャー企業まであらゆる転職先を紹介してくれます。
また、カウンセラーもIT業界経験者で、相談することで最適な転職先を見つける可能性が高くなるでしょう。
リクルートエージェント
リクルートエージェントは、リクルートが運営する業界再大手の転職エージェントです。非公開求人も多数所有しており、各社とのコネクションも多数持っています。
IT・Webの専門チームが設けられており、ITコンサルタント・SE・インフラエンジニアなど、元IT業界で働いていた人がカウンセラーとしてあなたの転職をサポートしてくれます。
レバテックキャリア
レバテックキャリアは、前述した大手の転職エージェントと比べると知名度が劣り、求人数も少ないですが、ITやWeb業界に特化した転職エージェントです。
非公開求人数も約2,000件と大手よりも少ないですが、IT企業出身のカウンセラーからサポートを受けられます。そのため業界の事情にも詳しく、IT業界への転職を検討している方にとっては心強い転職エージェントと言えます。
まとめ
IT業界に限らず、あなたに最適な転職先を見つけるには、あなたが業界知識に強みがあるのか、職種経験に強みがあるのかをきちんと把握しておきましょう。
ITの中でも特にSEは過酷な労働環境であることも多く、精神的にも体力的にもつらいことが多いのではないでしょうか。
転職によってあなたの労働環境が改善したり、給与が上がったりすることは珍しくありません。転職エージェントの利用は無料ですので、もし転職を考えている人は、一度キャリア相談だけでも行なってみることをおすすめします。
転職・人材業界に深く関わるディレクターが『今の職場に不満があり、転職を考え始めた方』や『転職活動の進め方がわからない方』へ、最高の転職を実現できる情報提供を目指している。
本記事はキャリズムを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
※キャリズムに掲載される記事は転職エージェントが執筆したものではありません。
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