
キャリア採用(きゃりあさいよう)とは、既に社会人としての経験がある人を中途で採用することで、近年大手企業を中心に増加傾向にあります。
身に付けているスキルや資格などが即戦力として活かせる場合に評価され採用されるので、経験年数が少ない場合や職種を変更する場合にはキャリア採用としての採用は難しくなります。
キャリア採用のメリット・デメリットはどんなところにあるのでしょうか。
キャリア採用で採用されやすい職種、有利な資格、キャリア採用で良い人材を獲得する方法などを紹介します。
キャリア採用の目的|中途採用との意味合いの違いは?
日本では新卒で入社した企業に一生勤め上げるのが一般的でしたが、近年では働きやすい環境や自分の才能を活かす場を求めて転職する人が増えています。そのため企業としても人材の流動化により、優秀な人材の確保が急務となっています。
すでに実績のある優秀な人材を採用するのが主な目的
社会人の経験が少なく、未経験の業種に転職する場合、研修を行い育て上げる必要がありますが、キャリア採用であればそれまでのスキルや経験を活かせる即戦力人材となる優秀な人材を採用することができます。
採用する企業としては教育にかかるコストを減らすことができますし、期待される役割をきちんと理解してからの採用であればミスマッチを減らせます。転職での採用コストは転職者に支払う初年度の年収の10%~20%を転職エージェントなどに支払うのが相場となっています。
ミスマッチを減らし、適切な人材配置ができれば、この採用コストを何度も支払う必要もなくなります。
中途採用との違いは?
中途採用とは、新卒採用以外の採用のことを指します。そのため、前職のキャリアが1年に満たない場合も中途採用というのです。
キャリア採用も広義では中途採用ですが、それまでの経験を十分に活かすことができる職種やポジションの採用となるため、一般的な中途採用とは異なります。
職歴が長いことが、経験も多くスキルも身についているとイコールになるかというと、そうではありません。同じ業界へ転職したとしてもまた一から教育する必要があるでしょう。
営業として数年間のキャリアがあるのに人事部などの事務系に転職したい場合にもそれまでのキャリアを活かすことが難しくなります。
キャリア採用の主たる目的は『即戦力人材』『事業成長にダイレクトに繋がる人材』と言えますが、単純に『中途採用』と言うだけでは、第二新卒や正社員未経験の方も含まれます。
このように中途採用と一口に言っても経験年数や職種を変えれば即戦力になりにくいです。
キャリア採用のメリット
それではキャリア採用のメリットはどんなところにあるのでしょうか。
企業側のメリット
まず企業側に立ってキャリア採用のメリットについて紹介します。
研修などの教育コストを下げられる
経験年数が少なく、それまでの職種とは全く異なる職種の人を採用する場合には、研修などを行い一から転職者を育てる必要があります。
しかし、キャリア採用の場合は前職で十分教育を受けており、実績がある人を採用するためにこのような研修は必要ありません。研修には時間も手間もかかりますが、キャリア採用の場合は必要ない点でメリットが大きいです。
通年の採用が可能
キャリア採用は通年での採用が可能です。たとえば、今すぐ人材が必要という訳ではなく、優秀な人材がいれば採用したいという場合もあるでしょう。
このような場合では、企業のホームページなどの求める人物像や経験・資格などを載せておき、連絡があった場合に面談をします。「この人を採用したい」という人材に出会えた時に採用すれば、余裕を持った採用活動ができます。
既存社員に刺激を与えられる
キャリア採用で採用された人は前職での実績やスキル・資格などを持っています。そのため、既存の社員に刺激を与える存在としても期待できます。
たとえば、証券会社の営業でキャリア採用した場合に転職者がどんどん成績を上げてボーナスやインセンティブをもらっている姿を見て「自分もまけないように頑張ろう」と思う既存社員もいるでしょう。
求職者側のメリット
では、求職者のメリットはどんなところにあるでしょうか。
自分の経験を活かして働くことができる
休職者としては自分が身に付けたスキルや資格を無駄にすることなく働くことができるという点がメリットです。
相当な労力をかけてスキルや資格を身に付けたのに、それが活かすことができない転職はよくあります。たとえば、英語力を武器に海外営業の実績を積んだのに転職先では国内営業になるなどです。
日本企業ではジョブローテーションも多いということもあり、未経験での門戸が広いのは良いところですが、このようなリスクもあるのです。
一方、キャリア採用であればどんな職種でどんな仕事をするかが決まっているので自分の経験を活かせる環境かを確かめた上で採用されるのがメリットといえます。
年収が下がりにくい
リクルートキャリアでは、2020年1月~3月に賃金変動状況を調査しています。この調査によると、「前職と比べ賃金が 1 割以上増加した転職決定者の割合」は 29.4%に留まります。
その他の70%は転職時に賃金がそのまま、または減っていることがわかりました。この結果から、一般的には転職で年収を上げることが難しいということが分かります。
しかし、キャリア採用では、優秀な人材を採用するために前職よりも高い年収を出すという企業もあると予想できます。それまでの経験値や資格など特に市場価値が高いと判断されれば、大幅な年収アップも可能でしょう。
キャリア採用のデメリットは?
キャリア採用のデメリットについても紹介します。
企業としての採用コストが上がる
キャリア採用で市場価値が高い人材を採用する場合、それなりの年収を条件に採用することになります。
転職エージェントなどを利用して採用を行う場合、実際に採用する際には年収の10%~20%を手数料として支払う必要があり、年収が高い人材を採用するほどコストがかかります。
また、このように高い手数料を支払ったとしても職場の環境や風土が合わずに辞めてしまう場合もあり、リスクも大きいといえるのです。
期待値が上がりプレッシャーもきつくなる可能性
転職者としては求められるレベルが高くなるのでそれがプレッシャーに感じてしまうケースもあるでしょう。
人間関係やシステムなどすぐに馴染めれば良いですが、なかなか慣れずに本来の実力が出しにくくなる可能性もあるでしょう。このような場合、自己肯定感が低くなり仕事に集中できなくなってしまうかもしれません。
過度な期待をしすぎず、転職者を温かく受け入れ、見守る環境づくりも大切です。
キャリア採用を積極的に行う企業の例
キャリア採用を積極的に行う企業を具体的な例を挙げて紹介します。
外資系企業|アクセンチュア
外資系企業は実力主義なところも多く、ほとんどがキャリア採用を行っています。コンサルティング業を営むアクセンチュアでは、職種ごとのキャリア採用を行っていますので、ご自身の経験を活かせる職種にエントリーしてください。
参考:アクセンチュア
IT企業:楽天
IT企業ではSEやプログラマーなどのキャリア採用を積極的に行っています。業界大手の楽天では、エンジニア系以外にも営業・マーケティング・金融・コーポレートなどさまざまな職種でキャリア採用を行っており、同時に3つの職種までエントリーできるそうです。
参考:楽天
ベンチャー企業:メルカリ
革新的な技術やアイデアで新しいサービスを提供するベンチャー企業では、業務拡大のためにキャリア採用を行うことが多いです。メルカリではエンジニアやマーケティングなどのキャリア採用を行っています。
参考:メルカリ
キャリア採用を積極的に行う業種
キャリア採用を積極的に行う業種についても紹介します。
営業系:野村證券
営業の仕事は企業にとって利益に直結するので、経験や実績がある人材を採用したいと思う企業は多いです。証券会社の野村證券はリテール向けの営業員を募集しています。金融危難勤務の経験があり、金融のプロフェッショナルとしてキャリアアップしたい方に向いています。
参考:野村證券
人事:丸紅
人事は専門性が高い職種ですが、業界問わず活躍できます。丸紅ではさまざまなキャリア採用をしていますが、人事部としては10年以上の実務経験がある人を募集しています。
参考:丸紅
法務:三菱商事
法律を守りながら企業経営を行う必要があるため、法務部の存在は企業として不可欠であり、需要も大きいです。弁護士資格を持つ人が法律事務所勤務から一般企業に転職するケースも多いです。三菱商事では世界を股にかけて活躍できる法務人材を採用しています。
参考:三菱商事
財務:パナソニック
営業活動と同時に企業の財務状況の確認は重要です。資金繰り悪化すれば、企業活動が停止してしまいますし、誤った投資を行うことで理想的な経営ができなくなる可能性があるからです。
財務譚と者としては、前職での財務経験や銀行・監査法人などの勤務経験が活かせます。パナソニックでは財務担当としてM&AやIRの実務経験がある人を募集しています。
参考:パナソニック
経営企画:ソフトバンク
企業を成長させるためにどのような戦略を立てるかを決める経営企画は優秀な人材が集まる職種です。ソフトバンクでは各部署と連携しながら企業価値を向上させる目的で、経営企画に従事する人材を募集しています。
参考:ソフトバンク
研究開発:旭化成
理系人材で研究開発を行う人材のキャリア採用も盛んです。自分が興味あることや社会に貢献できるやりがいのある研究ができる環境を選ぶとミスマッチも減るでしょう。旭化成ではさまざまな研究職の募集をしています。
参考:旭化成
SE・プログラマー|サイボウズ
IT化によりシステム開発や運用の需要が増えています。そのため、サイトやアプリ・ゲームなどを開発・設計するSEやプログラマーは引く手あまたの状況といえます。サイボウズ
では、国内のみならず海外駐在前提のキャリア採用も行っています。
参考:サイボウズ
キャリア採用に有利な資格
キャリア採用に有利になる資格を紹介します。
弁護士
司法試験を受けて弁護士資格を持っている場合、法務部で企業法務のプロフェッショナルとしての活躍ができます。最近では、企業内で働くインハウスローヤーに対する需要も増えているので、キャリア採用されやすい資格といえます。
公認会計士・税理士
公認会計士や税理士資格を持っていると、監査対応などで財務部・経理部で働くことができます。将来的にCFOとなるというキャリアも描けるでしょう。
中小企業診断士
中小企業診断士は、コンサルティング業務などを行う企業で重宝される資格です。
コンサルティングをすること自体に資格は必要ないですが、中小企業診断士が国内唯一のコンサルティング資格で難易度も高いと周知されているので、この資格を持っていることにより転職しやすくなるでしょう。
宅地建物取引士
不動産業では宅地建物取引士の資格保有者が重宝されます。なぜなら、不動産業を営む場合、業務者の5人に1人がこの資格を所有している必要があるからです。
不動産関連の業務経験とこの資格があれば、不動産関連でキャリア採用されやすくなるでしょう。
証券アナリスト
証券アナリストは証券会社や銀行などの金融機関で重宝される資格です。
難易度が高く取得している人が少ないということもあり、この資格があれば転職しやすいだけではなく重要なポジションにつける可能性もあるでしょう。
キャリア採用で求められること
キャリア採用で求められるのは、経験やスキルはもちろんですが「やる気」です。
企業としては前職での経験やスキルを活かして、即戦力として利益を生み出してほしいと期待しています。しかし、どんなに経験やスキルがあっても、やる気を感じることができなければ採用を躊躇するでしょう。
上述の通り、キャリア採用は採用コストが高く企業としても慎重になるからです。そのため、面接ではどんな風に企業に利益をもたらすことできるか、どのように活躍したいかというキャリアプランを明確にやる気をアピールできると良いでしょう。
企業がキャリア採用を成功させるコツ
企業がキャリア採用を成功するために気を付けることを紹介します。
欲しい人材について具体的に説明
まず、採用したい人材についてなるべく具体的に説明することです。たとえば、海外営業の人材が欲しいのであれば貿易経験〇年以上、TOEIC〇年以上、駐在可能者などです。
このような条件を明確にせずに募集し、求めるスキルに満たない求職者からしかアプローチが来なければ、書類選考や面接にかける労力や時間が無駄になってしまいます。
会社の情報を積極的に発信
会社の情報を積極的に発信するのも大切です。それまで全然興味がない企業でも会社の雰囲気や業務内容を知ることで興味を持つ人が増えるかもしれません。
また、ミスマッチを防ぐという意味もあるでしょう。せっかく採用してもすぐに辞められてしまうと採用コストや労力が無駄になります。
そのため、社員インタビューをするなど内部のことまでわかりやすい情報発信が大切です。
良いキャリア人材を確保するためには
優秀な人材をキャリア採用するための方法を紹介します。
ホームページの活用
自社ホームページにキャリア採用のページを開設するのも良い方法です。どのような人材を求めており、どのような業務をするのか、どのようなキャリアプランを歩めるかなどが分かると良いでしょう。
すでにキャリア採用された人がいるのであればそのインタビューを載せると説得力が増します。
転職サイトの利用
転職サイトを活用も良い方法です。一般的な中途採用情報の中にもキャリア採用として経験者を募集できます。一つの転職サイトではなく複数の転職サイトに掲載した方が多くの求職者に情報を届けることができるでしょう。
転職エージェントの利用
転職エージェントを利用する求職者も多いので、転職エージェントを利用しても良いでしょう。担当者がきちんと経歴やスキルを見て打診してくれるので、理想に近い人材を紹介される可能性が高いです。
ヘッドハンティング
たとえば、特定の人材を採用したいのであれば直接声をかけてヘッドハンティングするのも良いでしょう。もし連絡先を知らないのであれば知り合いを探したり、SNSで検索して探したりということもできます。
SNS採用
最近はSNS上で自身のスキルなどを発信している方も多いです。SNS上で採用したい人材を見つけたらDMでアプローチしてみるのも良いでしょう。若い世代はこのような採用にも抵抗は少ないようです。
まとめ
キャリア採用は、既に知識や経験がある人を採用する方法です。企業にとっては即戦力に期待できる、研修コストを下げられる、他の社員に刺激を与えられるなどのメリットがあります。
求職者としても、それまでのキャリアを無駄にしない、年収が大幅に下がらないということに期待できるでしょう。キャリア採用を実際に行う企業も増えており、今後さらにスキルに合わせて資格を持つ求職者の市場価値が高まることが予想できます。
キャリア採用をする場合、ミスマッチがないように必要な人材について発信することが大切です。
転職エージェントやヘッドハンティングなどを活用することで理想の人材に出会える可能性が上がります。
転職・人材業界に深く関わるディレクターが『今の職場に不満があり、転職を考え始めた方』や『転職活動の進め方がわからない方』へ、最高の転職を実現できる情報提供を目指している。
本記事はキャリズムを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
※キャリズムに掲載される記事は転職エージェントが執筆したものではありません。
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