転職を希望されている看護師の方の多くが転職活動を成功させたいと思っているはずです。しかしながら、転職先で上手く折り合いをつけず再び転職活動を強いられる看護師は少なくありません。
このような事態を招く最もの原因は、転職先に対する情報収集不足だと言われており、いかにして情報を集め分析をするのかは、看護師に限らず転職活動を成功させるためには必要不可欠でしょう。
そこで、今回の記事では看護師が転職活動を成功させるために必要な情報の集め方から、情報の分析の仕方についてまとめてみました。
転職の成功条件をきちんと定めておくべき理由
そもそも看護師の方にとっての転職活動の成功とは、どういったものなのでしょうか。内定をもらうことこそが成功なのか、それとも給料の良い転職先を見つけることが成功なのか、成功の定義は人それぞれでしょう。
共通していえることは、働きやすい環境で長期間、勤めることができる場所に転職できることこそが転職活動における成功だということです。
働きやすい環境へ転職するためには、どうして転職したいのかを踏まえた上で、自分にとって働きやすい条件をリストアップしなければなりません。
転職の成功の条件は人それぞれであるため
もちろん転職理由、働きやすい環境というのは人によって異なりますが、だからこそ転職先へ求める条件を明確にする必要があるのです。よくある転職理由としては、
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給料を増やしたい
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キャリアアップに向けて他の診療科の経験や実技の向上
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職場の人間関係に悩みがある
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子育てと仕事を両立させたい
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労働環境を良くしたい
などがあげられます。また冒頭でも申しましたが転職活動が成功しない原因としてよくあげられるのは、
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求人情報以外の情報を知らない
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立地や給料の良さなど断片的な情報で選んでいる
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使用する求人媒体を一つに絞っている
など情報不足があげられます。当然、転職活動の成功のために必要な要因は、給料や立地だけではありません。自身の転職先に求める条件を明確にしなかったために、情報不足という事態を招くのです。
転職してもすぐ退職するリスクがある
転職先の条件を明確にしなかったため、転職先の情報収集を怠ったために、転職後に、思い描いていた職場のイメージと違うというケースはよくあるでしょう。
職場と折り合いが付けられれば問題ありませんが、「給料は良いけど労働環境が良くない」、「職場の空気に馴染めない」などを理由に再び転職活動を強いられるケースはよくあると言われております。
転職が重なると次の転職活動に影響が出る
また、すぐ転職活動を始めるとなると、前の転職活動よりも内定をもらうことが難しくなるでしょう。勤務年数が短いことから、「またすぐ退職するのではないか」、「協調性に欠けるのではないか」と印象を与えるためです。
そのため看護師の方は、なるべく長期的に勤めることを念頭に、自身に合う転職先を見つけるべきであり、そのためには自身の転職先に求める条件を明確にした上で、転職先の情報をリサーチしなければなりません。
看護師の転職活動を成功させるための確認事項
では、看護師の方が転職先の情報を集める上で、どのような点を確認するべきなのでしょうか。
自身が退職した理由を元に転職先に求める条件を明確にする
まずは、先ほども申した通り、自身が転職先に求める条件を明確にする必要がありますが、そのためには退職したい理由を今一度、明らかにしてください。
その上で、次の転職先に求める条件を並べる必要がありますが、全ての要件に叶う求人先が見つかるとは限りません。そのため、条件の中から優先すべき事項をランク付けしてください。
できれば労働環境や職場内の人間関係を優先的に求人先について調べることをオススメします。
既婚者・育児をする人が働きやすい職場かどうか
女性の看護師さんは特に、転職先が既婚者や育児をしやすい職場環境なのか確認すべきでしょう。結婚生活や育児を仕事と両立させるためには、職場からの理解が必須だからです。
そこで、既婚者や子供がいる看護師が働いやすい職場かどうかを確かめるためには、以下の項目を確認してください。
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既婚者・ワーキングママの割合
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託児所の有無
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師長・部長にワーキングママはいるのか
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看護師の育児看護休暇
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どのような子育て支援制度があるのか
どのような労働環境なのか
看護師の仕事はハードワークな傾向にあるため、できるだけ労働環境が整った転職先を見つけるべきです。
残業時間がどれくらいなのか
そのためには、まず残業時間がどれくらいなのかを抑えるべきですが、「月間あたりの具体的な残業時間」を確認した上で、その残業時間が病棟内における残業平均時間なのか、それとも病院全体によるものなのかを確認してください。
休憩時間にスタッフは休憩しているのか
スタッフが休憩時間内にちゃんと休憩を取っているかどうかは、労働環境の良し悪しを図る上での指標の一つです。
就業時間中に休憩を取ることは当然の権利ですが、職場によっては看護師がまともに休憩を取っていないことがありえるため、その点も確認しておきましょう。
有給の消化率
有給の消化率も職場の労働環境を確かめる上で必要な指標になりますが、有給消化率の具体的な数値を確認した上で、その数字が病棟内における数値なのか病院全体によるものなのかを確認してください。
離職率の割合
労働環境を確かめる上で、離職率の高さは一番、わかりやすい指標になりますが、1年あたりの入職者数に対する退職者数を調べることで算出することができます。
職場の雰囲気はどのようなものか
退職理由として職場の空気に馴染めないことをあげる看護師の方は多いですが、職場の雰囲気によって転職先で上手くやっていけるかどうかは決まります。
自身の看護師としての価値観と職場の理念や方針に合うのか、自身の境遇に近い看護師(平均年齢・経験年数)の割合を確かめることが必要です。
求人情報を確認する上での注意点
看護師が転職活動を成功させるためには上記の点を確認することが必要ですが、それ以外にも求人情報を見る上で気を付けるべき点が幾つかあります。
基本給と月給の違い
まず求人情報を確認する上で、基本給と月給の違いについて知っておくべきでしょう。基本給とは、月給から各種手当を引いたものです(月給-各種手当)。
求人情報には、求職者への釣り文句として、「月給○○万円」と記載されていることが多いですが、賞与の額は基本給を元に算出されるため注意してください。
休日の表記方法
次に休日の表記方法について完全週休二日制と、週休二日制の違い気を付けましょう。完全週休二日制とは、毎週必ず週2の休みが設けられていることを意味するのに対して、週休二日制は週に2日の休みがある日が月に1回は存在するとういう意味を指します。
どれくらいの休みを貰えるのかは事前に抑えておくべきですが、同時に年間休日数がどれくらいあるのかも確認しておきましょう。
給与が高い病院には気をつける
転職理由に給料の高さをあげる看護師の方は多いですが、給料の高い病院ほど労働環境が良くない傾向にあります。
実際のところ看護師の給料は、病院によってそこまで差が開かないので、給料が高い病院に限って人手不足であり残業が多く仕事が忙しいケースが多いのです。
看護師が転職を成功するための情報収集の仕方
看護師が転職活動を成功させるためには、人間関係や労働環境の良し悪しを条件に選ぶことをお勧めしましたが、上記で紹介した確認事項は求人情報から知りえるのは難しいでしょう。
そのため、以下の方法を使用して情報を集めることをお勧めしますが、一つの方法に絞るのではなく幾つかの方法を併用してください。
同業者からの情報収集
まず同業者の看護師から求人の情報を集めるのも一つの手段です。実際に働いている人の生身の声を聞く事ができるので、働きやすい環境なのかどうか確かめることができます。
しかしながら、そこで働いている人が働きやすくても自分が働きやすいとは限りません。また、情報が取得できる病院の数にも限りがあります。
病院見学
ある程度、応募先の的が絞れているのであれば病院に直接、見学に出向くことも、実際の働く現場を目にすることで自分が働いた場合、どうなるのかイメージがつきやすいので効果的です。
もし見学を希望される場合は、その病院の看護部へ見学の希望に関する問い合わせしてください。見学する際は以下のチェックポイントを確認してください。
<チェックポイント> |
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・電話対応 |
感じの良い対応か否か |
・若手・古株看護師のやり取り |
若手看護師にとって働きやすい空気か |
・患者さんと看護師の触れ合い方 |
フランクに接しているか |
・お手洗い |
清潔であり整理整頓がされているか |
・ナースステーション |
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・託児所の環境 |
子供の数に対する保育師の数 |
お手洗い、ナースステーションが整理整頓されていない、清潔な状態が保たれていない場合は、手が回らないほど忙しい職場である可能性が高いです。
看護師転職サイトの利用
看護師専用の転職サイトを利用するのも求人先を見つけるだけでなく情報収集をする上で役立ちます。とにかく求人数が多く、派遣、短期、非常勤など様々な労働形態の求人、大都市・大病院の求人を多く扱っているのが特徴です。
看護協会(eナースセンター)の利用
日本看護協会が運営しているeナースセンターを利用するのも、同様に求人先を見つけられる上に、転職先の情報を集めるためにオススメです。病院の職場の雰囲気や労働環境について知れるだけでなく、看護師の方が抱えている悩み相談にも対応してくれます。
扱っている求人数には限りがあり、クリニックや介護施設の求人がメインです。
転職エージェントの利用
転職エージェントも、利用することで求人情報だけでなく転職先の情報を知ることができます。
エージェントを利用するメリット
看護師の方が転職エージェントを利用するメリットとして、
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内部情報を深く知れる
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転職後のトラブルへの対応
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退職のサポート
があげられます。転職が決まった後、面接と条件が異なった場合、エージェントが直接、交渉を行ってくれるため、自身の求めている条件に適う職場へ転職しやすくなります。
良いエージェントは病院との交渉力がある
ではどのような基準で転職エージェントを選ぶべきなのでしょうか。良いエージェントほど、病院との交渉力に長けておりますが、
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過去の実績
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紹介会社の経営の安定面
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親身に対応してくれる
の3点に注意してエージェントを選びましょう。親身に対応してくれるかエージェントが所属している紹介会社は、特定の看護師に時間をかけられる、つまりは経営的に安定している紹介会社と考えることができます。
まとめ
看護師に限った話ではありませんが転職活動の成功は、内定を貰うことではありません。長期的に勤めることが可能な職場へ転職することであり、そのためには転職する理由、応募先に関する情報を洗い出すことが必要です。
これから転職活動をする看護師の方が、今回の記事を参考にしていただけたらと思います。
転職・人材業界に深く関わるディレクターが『今の職場に不満があり、転職を考え始めた方』や『転職活動の進め方がわからない方』へ、最高の転職を実現できる情報提供を目指している。
本記事はキャリズムを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
※キャリズムに掲載される記事は転職エージェントが執筆したものではありません。
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