
看護師は離職する人の割合が高い業界で、長時間にわたる労働や、教育研修制度が整っていないこと、人間関係などを理由に転職をする人が多く見られます。
結婚、出産などを経て、1度仕事を離れたのちに再就職するなど、仕方のないケースを除き、転職時の面接でマイナスな原因を退職理由として採用担当者に伝えることは印象を悪くすることもあり、一般的によしとされていません。
この記事では、看護として働いているけれど、転職を考えている人に向けて、看護師の人が退職した理由を紹介した後、転職時の面接で効果的な転職理由を解説します。
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看護師が転職したい主な理由
厚生労働省が発表した『看護職員就業状況等実態調査結果』によると、看護師が退職した理由は以下の通りとなっています。
参考:「 看護職員就業状況等実態調査結果|厚生労働省 」
代表的なもの5つについて、詳しく見てみましょう。
給料を増やしたいから
まず、看護師業界に限った話ではありませんが、給料アップを理由に転職を希望する人は多く見られます。
看護師としての能力、実務経験を加味して給料の査定が行なわれますが、
- 看護師として3年以上の経験がある
- または同じ診療科のチームのリーダー経験
- プリセプター(新人教育)の経験がある看護師
は、給料が上がりやすいでしょう。
労働環境をよくしたいから
看護師の職場は忙しい現場が多く、残業、夜勤、休みが取れないなど、多くの看護師の方が仕事に辟易しているようです。
クリニックなど夜勤の少ないところへ転職を希望する看護師は多いですが、その一方で別の職種に転職する看護師も少なくありません。
家庭との両立を図りたいから
上記の表からわかる通り、看護師の退職理由のトップは、出産、育児、結婚によるものです。
看護師は女性が多い業界ですから、結婚を機に退職する看護師が多いのですが、同時に子育てが落ち着いた頃合いを見て、育児と両立できる職場へ転職を希望する女性看護師は沢山います。
人間関係を改善させたいから
人間関係につまずき退職する看護師は少なくありません。
看護師の職場は女性社会であるがゆえの、人間関係のいざこざが多い業界だと言われており、職場に馴染めない男性看護師の方の声もよく耳にします。
なかなか人間関係をコントロールするのは難しいことですが、人間関係が良好に保てる職場へ転職を希望する看護師は多いでしょう。
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スキルアップ・キャリアップしたいから
看護師としてのキャリアを見据え、スキルアップや現職では経験できない職務経験を積むことを理由に、転職を希望する看護師も多いです。
看護師としての将来を考えることは大切ですが、どのようなキャリアを歩みたいのか明確にしておくべきでしょう。
面接で効果的な退職理由の伝え方
看護師だけに限ったことではありませんが、転職の面接を受ける際には、前職を辞めた理由を聞かれることが一般的です。
上記のよくある退職理由のうち、『人間関係を改善させたい』といったものは、採用担当者にマイナスな印象を与えかねません。
ここでは、面接の際に効果的な退職理由の伝え方について解説します。
給料を増やしたい場合
給料が少ないことを理由に退職した場合にはそのまま伝えても問題はありませんが、給与だけに固執していると思われるケースがありますので注意が必要です。
前職で成し遂げた成果を具体的に挙げながら、「それに見合うだけの給料がもらえなかった」というように、あなた自身の実績をアピールしながら伝えるとよいでしょう
労働環境をよくしたい場合
長時間の労働に耐えかねて転職を決意した場合など、労働環境をよくしたいケースでは、そのまま退職理由として伝えるには不適切です。
採用担当者に『楽な職場に転職したいんだな』と思われてしまいかねません。
このような場合には、労働環境が悪いことで患者に対してどういったデメリットが発生するかといったことを軸に、転職理由を伝えるようにしてください。
- 一人ひとりの患者にもっとじっくりと向き合いたい
- 落ち着いて仕事に励むことで医療事故を減らしたい
といった内容を伝えると効果的です。
人間関係を改善したい場合
人間関係が悪く辞めた場合、転職理由として伝えるのは不適切です。
人間関係の悪化はどこの職場でも発生する可能性があることですので、場合によってはあなたの人間性に問題があると判断されかねません。
退職理由は『自分のキャリアアップのため』『自分のスキルアップのため』など、ポジティブな理由を伝えるようにしてください。
もし、『いじめ・嫌がらせ』など、仕方ない理由の場合には、そのまま伝えても問題はないかもしれませんが、「積極的にコミュニケーションを取ろうとした」「自分の悪い点を改善しようとした」など、解決のためにしたことを具体的に伝えたほうがよいでしょう。
やむ得ない理由に関してはそのまま伝えて問題ない
転職理由として
- 家族の健康問題・介護
- 結婚
- 出産・育児
など、やむ得ない理由を抱えている看護師の方に関しては、そのまま事情を伝えて問題ないでしょう。
ただし、健康状態に関しては、仕事に支障がないことを伝える必要がありますし、出産育児に関しても、一段落がついており時間に制約がないことは伝えておいたほうが無難です。
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看護師が面接で転職・退職理由を聞かれた場合に気をつけること
ここでは、看護師の方が、面接官から質問された場合に注意しておきたい転職理由、退職理由と、それに対する回答方法について紹介します。
短期で退職をした理由に関する質問
まず、短期で退職をした看護師の方が、面接でそのことについて質問された場合の注意点として、前職に対する不平不満を伝えることはNGです。
もし人間関係でつまずいたのが原因であれば、どうして人間関係につまずいたのか、自身が至らなかった点はどこか、それを改善するために、次の職場ではどのような取り組みをするのか、前向きな姿勢を見せましょう。
自身に対する落ち度に関しては正直に答え、同じ轍は踏まず、成長する意欲があることを見せられることが好ましいです。
その上で、応募先の職場で働くことで、前職では経験できない職務内容を積むことで、看護師としてスキルアップしたいことを伝えることをおすすめします。
転職回数が多い理由に関する質問
転職回数が多い看護師の方は、「また、すぐ転職するのではないか」、「職場に馴染めるだろうか」など採用側が抱えるであろう不安点を払拭するだけの自己PRをすることが必要です。
好奇心旺盛であるため、貪欲にいろいろな職務を経験してきたこと、各現場で習得したスキルや経験を、転職先でどのように活かせるのかなどを伝えられるとよいでしょう。
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ブランクが長い理由に関する質問
看護師としての業務から長い期間離れていた方は、その点について聞かれると思います。
もし、資格の取得のために学業を優先してブランクがある方は、離職中に学んだことが転職先でどのように活用できるのかを説明してください。
また、出産や育児、怪我などによりブランクを作ってしまった方は、ブランクが空いてしまった事情を正直に話しましょう。
正直に話した上で、病気の治り具合、子供がどれくらい手がかかるのか、仕事をする上で障害があるのか、現状について伝えてください。
転職理由に適った転職をするにはエージェントを利用する
看護師が転職する場合には、転職エージェントを利用することをおすすめします。
転職エージェントとは、あなたと転職先の病院をマッチングさせるサービスです。
転職エージェントには『キャリアアドバイザー』と呼ばれる転職に関するプロフェッショナルが在籍しており、あなたの転職を成功に導くために以下のようなサポートを提供してくれます。
- 退職理由のヒアリング
- 転職先の希望条件のヒアリング
- あなたに最適な転職先の紹介
- 面接対策
あなたの転職理由に適った病院に転職するには、その病院の内情について詳しく把握しておかなければなりません。
キャリアアドバイザーによっては、各病院と連絡を取りその病院がどういった内情かについて詳しく調査をしています。
そのため、転職エージェントを利用すれば、転職先の病院について以下のような情報を把握できるでしょう。
- 職場の看護師の平均年齢・平均勤務年数
- 月間当たりの平均労働時間・残業時間
- 有給消化率
- 離職率の割合
- 子育て支援制度の有無
- 託児所の設置の有無
また、面接はあなたの人柄や能力、そして転職後に活躍できるかを判断する場です。
面接の対策を怠った場合には、本当は転職するだけの力があるにもかかわらず、採用担当者にあなたのよさが伝わりきらず、不採用といったことにもなりかねません。
キャリアアドバイザーは面接の練習もしてくれます。退職理由に関しても効果的な伝え方を教えてくれるでしょうし、あなたの強みをアピールする方法も具体的に指導してくれます。
転職する際にはぜひ転職エージェントを利用するようにしてください。
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看護師の転職におすすめの転職エージェント
ここでは、看護師の転職におすすめの転職エージェントを紹介します。
なお、転職エージェントには独占して所有している求人もあります。1つに絞って転職活動を行なうこともできますが、あなたに最適な転職先が見つからないことも考えられます。
そのため、転職エージェントは複数登録しておくようにしましょう。
看護roo!|転職前に病院の内情が一番わかる
『看護roo!』は従来の看護師転職支援サポートに加えて、退職交渉、給与アップの交渉に強みを持ったサポート型の転職サイトです。
忙しい看護師のために働きながら転職活動がでる体制と、転職へ向けた準備マニュアルなども用意されています。
看護のお仕事
『看護のお仕事』は、『レバレジーズ』が運営する求人数13万件以上を所有する、求人数トップの転職エージェントです。
キャリアアドバイザーの寄り添ったサポートに定評があり、あなたの『わがまま』にどこまでも対応してくれます。
あなたが納得する、希望の条件にそった転職先が見つかるまで提案をし続けてくれます。
また、『情熱をもってサポートをする』をモットーとして掲げており、24時間・年中無休で電話対応を行なっているので、夜勤などが多い看護師の人も利用しやすいといえるでしょう。
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マイナビ看護師
『マイナビ看護師』は大手『マイナビ』が運営する看護師に特化した転職エージェントです。
日本最大級のエージェントで、求人数の多さと質の高さに定評があります。
キャリアアドバイザーの力量も高く、あなたの希望にそった転職先を紹介することはもちろん、あなた自身では気づかなかったニーズを提案してくれるケースもあり、利用者の満足度は96%を誇ります。
また、転職後に長期的に働けるよう雇用のミスマッチを減らすために病院の雰囲気や人間関係、労働環境などを細かく把握していますので、安心して転職に臨めるでしょう。
転職する際には必ず登録しておきたい転職エージェントです。
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ナース人材バンク
『ナース人材バンク』は全国に拠点があり、キャリアアドバイザーが地域密着型のサポートをしてくれることで好評です。
非公開求人数も多く、紹介してくれる転職先も、病院や治験施設、保育施設など多岐にわたります。
求人形態も正社員とパートがあり、時短で勤務したい人にもおすすめの転職エージェントです。
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まとめ
看護師によって転職理由はさまざまですが、履歴書や面接で全てを正直に話すことは得策ではありません。
少しでも転職理由に適う職場へ転職するためには、職場の内情を知ることと、採用側に好まれる転職理由を考えることが必要ですが、そのためにも転職エージェントに相談するのがよいでしょう。
転職・人材業界に深く関わるディレクターが『今の職場に不満があり、転職を考え始めた方』や『転職活動の進め方がわからない方』へ、最高の転職を実現できる情報提供を目指している。
本記事はキャリズムを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
※キャリズムに掲載される記事は転職エージェントが執筆したものではありません。
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