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公開日:2018.10.26 

「占い師として生活できる人は少ない」プロ占い師が仕事のリアルを語る

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以前、テレビでこんな占い師を見かけました。

華やかな衣装。宝石のついた指輪。「見えたわ!アンタの運命はね…!!」ビシッ!

そして思いました。「この占い師、一体いくら稼いでいるんだろう…?」

一方で、街中で簡素な机を広げ、ひたすらお客さんを待ち続けるスタイルの路上占い師もいますよね。

まったくお客さんがこなければ当然1円の稼ぎにもならないわけですが…、占い師のお仕事だけで食べていけるのでしょうか。

そもそも、占い師のお仕事に関するリアルな情報ってめったに表に出てこないので、収入事情もそうですが必須スキルや業界のルールなんかも気になります。

というわけで今回は謎に満ちた占い師のあれこれについて、現在多くのメディアで活躍中の占い師、CHAZZ先生にインタビューさせていただきました。
 

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 【CHAZZ】

東洋占術、西洋占術、運命学、様々な占術を探求する占術研究家であり、実践家。占いイベントのプロデュースやテレビ・雑誌出演などマルチに活動中。芸能関係者・経営者・アーティストなどの顧客も多く幅広い層からの支持を得ている。
CHAZZ Website:http://chazz-fortune.com/


 

「たまたま」がきっかけで占い師になった

――よろしくお願いします!早速ですが、先生が占い師になったきっかけを教えてください!

「僕、実は25歳くらいまでは、ミュージシャンだったんですよ。」

――ミュージシャン!?意外でした。

「X JAPANとか、イエモンとかの世代で、当時は体重も50㎏くらいしかなかったもので、ビジュアル系のバンドやってたんですよ。でも限界を感じて、やめて。比較的バブルな時代だったのでその後はのうのうと働いてたんですけどね。バブルがはじけた時に、働いてた会社も潰れて、自営やってた親父の会社も潰れて。なーんにもなくなっちゃって。」

――ええ…!壮絶ですね…。

「一回ドーンと落ちて、いろいろ模索してる最中に、たまたま『ちょっとイベントで占いやってみない?』って誘われて。あ、占いは趣味で18くらいの頃から勉強してたんです。で、やってみたら好評で…気づいたらリピーターができていました(笑)その時はプロになる気は全然なかったので、他の仕事と両立しながら活動していましたけどね。」

 

占い師で生活できる人は5%くらい

――失礼を承知でお尋ねしますが…占い師というお仕事で、食べていけるんですか?

「今ね、多分『自分占い師です』って名乗っている人、日本で1万人はいるっていわれてるの。ピンからキリまで、おそらく『名乗っているだけだろう』って思うような人も含めてね。その中で、生活できるだけの収入を確保できている人って5%くらいだと思います。」

――その5%以外の人は、本業とは別に副業としてやってるんですかね?

「専業主婦の人だったら、パートに近い感じでできますけどね、それ以外の “稼げていない人”って、ほぼ自己満足なんですよね(笑)占い師と呼ばれたい、みたいな承認欲求もたぶんある。何の資格もなくて『先生』と呼ばれる、もっとも気軽な仕事かもしれないね。」

――特に資格はいらないんですね。

「厳密には、国や公共が運命の領域を資格として認めることが難しいんですよね。だから、占い師って自分で名乗れば、占い師になっちゃう。そんな曖昧性があるのも事実なんですよね。パッと売れちゃう人も中にはいるけど、正直、食えるようになるには最低3年はかかると思いますよ。」

 

コミュニケーションスキルが高ければ、売れる

「正直、占いの能力が高いから稼げる占い師ってあんまりいないんですよ。極端な話、コミュニケーションスキルが高い人のほうが売れます。当たる・当たらないの前に、いかにちゃんと悩みを聞いてくれるかのほうが今の時代は重要なんですよ。」

――確かに占い師ってカウンセラー的な要素も兼ね備えていますよね。

「たとえば、『ろくでもない男と付き合ってて傷ついてるんだけどどうしたらいい?』っていう恋愛相談を受けるとするでしょう。でも、『その男はろくでもないからもうお付き合いはやめたほうがいい』って言ってもね、成立しないんですよ。ダメな男だってわかっていて付き合っているわけだから。」

――ではその場合は、どのようなアドバイスをするんですか?

「ダメな男であることを踏まえて、心が楽になるようにどう持っていけるか。もうこの辺の領域になると、占い師の領域を超えてくるんですけどね。今の時代の占い師は、的中させるスキルとコミュニケーションスキルの両方を備えていないと、誰もリピートしないよね。恋愛相談においてはとくに。」

――「うまくいかないよ」とストレートには言わないわけですね。

「そう。 うまくいかない、の先が必要になってくるんだよね。『あなたはそれでもその人と付き合い続けたいんだよね?じゃあ、どうしようか』っていう。で、究極を言っちゃえば、そのアドバイスの中でその人がきちんと諦められるところまで持ってく。『この男はダメですね』って、本人に言ってもらえるようになるのがベスト。」

 

恋愛相談は受けないようにしている、その理由は…

――人間の悩みって、大まかに「恋愛」「仕事」「金銭」「対人」「健康」の5種類に分類されるらしいですが、占い師のもとに寄せられる相談ってやっぱり恋愛相談が多いのでしょうか?

占い師への悩み相談の8割は恋愛相談ですね。占い師の性別とか年齢によっても差が出るけど。でも、僕の場合は、ある時から恋愛相談をなるべく受けなくしちゃったんですよ。」

――それはまたどうしてですか?

「相談者があまりにも前向きじゃないから(笑)不毛な悩みが多い…っていうのも正直ある。ドロ沼の不倫みたいな。そういう悩み相談をたとえば3年とかず~っと受けてると、だいたい占い師は病んじゃうんですよ。」

――なるほど。心を病みながら活動している占い師さんもいるわけですね。

「実は、『占い師になりたい』と思ってなる人は大体“元客”なんですよ。で、元客ってことは、病み体質の方が多い。共依存関係が作りやすいっていうか。カウンセラーになる人も元相談者が多かったりするけど、たぶんそれとパターンは一緒。」

――自分が以前救われたから、今度は自分が救う側になりたい、みたいな?

「うん。その論理が成立すると思う。」

 

占い師が“見て”いるもの


――「これは危険だ」とか「これは成功しそう」っていうのは、どういう占いで何を見るんですか?

「占いって、命(めい)・卜(ぼく)・相(そう)って3種類あるんですけどね。命(めい)の占いっていうのは生年月日の占い、卜(ぼく)っていうのは、サイコロ振ったりカード引いたりとか、偶然が必然になる占い、相(そう)は人相とか、実際に見えるものを見る。基本的には卜の領域が最終的にすごく大事です。」

――命(めい)・卜(ぼく)・相(そう)…聞いたことあります!
 

命(めい)…生年月日や星の配置などで占う
卜(ぼく)…タロットやおみくじなど、ものを使って占う
相(そう)…手相や人相などを見て占う


「例えば、会社の運命は社長の運命にすごく関係してきます。だから、社長が変わると会社の運勢も変わっちゃったり。」

――社長が変わってから会社の体制も変わって、トラブルが起きて…ってニュースにもなりましたよね。

「ありましたね。考え方の問題もあるけど、占い師は運気のバイオリズムをやっぱり見るんですよ。で、下降線を描いてる社長とかプロジェクトリーダーに対しては、『今これやるタイミングじゃないかもしれない』とか。あとはもともと、新しいことをやるタイプの人じゃない場合もあるし。持って生まれた性質と、物事がうまくいくかいかないかを見る傾向がやっぱりありますよね。」

――経営者がビジネスの相談に来るってすごいですね。そのプロジェクトやったらダメ!って言われた人は、それで納得するんですか?

「はじめて言われて納得する人はいないです、というか、はじめて来て納得する人は経営者としてやばいです(笑)こういうことが起きて、次にこういうことが起きて、それで“当たった”からまた来るんですよね。で、二度目からは真剣なんですよ大体。それで、当たる・当たらないの先に、どういう示唆ができるのかが、特にビジネスに関する占いの場合は重要。当たる占い師は信用できるし、当たらない占い師は信用できない。単純な二重構造。これが当たったから会社が救われた、っていう人は10年とかずっと相談にきたりしますよ。」

 

相談者は、背中を押してもらいたがっている

――一方で、雇われている側の人だとどんな悩みを抱えている方が多いのでしょうか?

「8割、人間関係です。『自分の求めてることと、会社が求めてることが違う』っていう人も中にはいますけど、そういう人はたぶん、2割もいない。で、圧倒的に上司と上手くいかないっていう人が多いですね。だから解決策としてはシンプルで、転職するか、対人関係をどう処理したり工夫するか、そのどちらかですよね。」

――人間関係で悩んでいる人に対して、先生がどのようなアドバイスをされているのか気になります。

「恋愛相談と違って仕事相談の場合は、『今の仕事はやめたほうがいい』とかズバッと言っちゃいます。ただ、本人に問題がある場合もありますけどね…。その場合は、やんわり言わないとダメなんですけど(笑)でもほとんどが背中を押してもらいたくて来るわけですよ。」

――セクハラとかパワハラとかの相談をされに来る方もいそうですよね。で、心を病んじゃったりとか。

「いますね。鬱になっちゃったりとか。でも僕は、抗うつ剤を飲んでいる人は占わないです。前向きなことをアドバイスしてもできる状況じゃないし、『立ち向かえ』っていうのも難しいので…。なので『抗うつ剤を飲まなくてもよい状態になったらまた来てください』って言います。そのほうが本人の時間を無駄にしなくて済みますしね。」

 

「不愉快だ!」で相談者とトラブルになるケースも…

――ちなみに、相談者から「占いが当たらなかったんだけど!」なんて言われてトラブルになったケースってありますか?

「それはあまりないかな。占い師が不愉快なことを言ったから、っていうクレームのほうが圧倒的に多いです(笑)」

――欲しい言葉を言ってもらえなかったとか、言い方が気にくわない、とかですか?

「そうそう、男の占い師って占いを真面目に研究してる堅物が多いんですけど、そのせいか恋愛相談で女性の気持ちを汲んだ言葉をかけてあげられずに、キレられちゃう(笑)『私はそんなこと聞きにきたんじゃないのよ!』みたいな(笑)」

――え~でもそれって理不尽じゃないですか?占えって言うから占ったのに…。

「うん、でも、そこを汲み取れるか汲み取れないかが占い師の腕でもある。占い能力以外に、やっぱりコミュニケーション能力やカウンセリング能力が伴っていないと無理ですね…特に日本は。」

 

ギャンブル・寿命に関する質問には答えない


――占い師が答えられないことってありますか?

「そうですね…。基本的に占い館とかに勤めてたりすると、会社なんでリスクヘッジをするので、ものすごくルールに厳しいんですけどね。例えば『ギャンブルとか、株とか、死ぬ時期の相談には乗っちゃいけない』とか。でも、個人で占うぶんには、本人が「OK」と言えば別に制限はないです。僕個人の場合は、経営者に対しては何でも正直に伝えるようにはしているんですが、ギャンブル的なことと、死ぬ時期については言わないようにしています。特に死ぬ時期に関しては、日本人は耐えられない人が多いので。日本人以外は露骨に言いますけど(笑)」

――死ぬ時期!確かに気になるけど知りたくはないですね…。

「中国系の人なんかは『私いくつまで生きてられますか?』っていう質問が多くて。で、台湾や香港ではそれを当てられない占い師は占い師じゃないと思ってるところもあるので。」

――へ~、さすが占いの国…。

「中国人なんかは『あ、50くらいで俺死ぬの?なら年金払わなくていいや』ってある意味前向きにとらえる人が多いですよ(笑)でも日本人の場合、『あぁ50で死ぬんだぁ…』ってネガティブになっちゃう人が多いので、あまり言わないです。『この時期に体調を崩すと、結構大変かもよ』みたいな言い方をすることはありますけど。」

――ちなみに寿命って、その人の何を見たらわかるんですか?

「命占(めいせん)です。占いって、『偶然にすごく意味がある』っていう考え方が原点としてあるんですけどね。例えば偶然引いたカードがこれだからこうだろう、とか、偶然サイコロのこの目が出たからこれはこうなるだろう、とかね。だとしたら、人が生まれたこのタイミングにも意味があるだろう、この瞬間にその人の運命のエッセンスが全て詰まっているだろう、そういう考えでその人の命占を見ます。」

――なるほど、命占を見れば、その人がいつ生まれたから、いつ成功する、いつ死ぬ、そんな運命が見えてくるんですね。

「そうですね。ただやっぱり、100%はこの世にはないです。というのも、運命のうちここは決まっているけど、ここは決まっていないから、自分でアレンジできる、っていう部分があるんですよ。その区別をしてあげるのも占いの仕事なんですよね。」

――奥が深いですね…。

「例えば、日本人として生まれたという運命を持つ以上、アメリカ人になりたいと思ってもがいてもなれないわけですよ。でも、もがいて変わる部分もある。例えばアメリカに住めば、アメリカの文化に触れてアメリカ人のように振る舞うことはできます。だからこそ占い師は『もがいて有益なこと』を区別して、それを伝えるわけです。努力すべきところはここですよ、アレンジすべきところはここですよ、っていう見抜きができるのが占い師のプロなんですよ。」

 

中には、占いが「必要な人」もいる


――先生はこの先、どのような占い師でありたいですか?

「『一人でも多くの人を救いたい』って考える占い師の方はたくさんいますけど、僕は占いで人を救う、なんておこがましい気もしているんです。占いって、なくても全然人生に支障をきたさないと思うので。でも、絶対に必要な人も中にはいる。僕はそういう、本当に占いが必要な人だけを対象に占いをしていきたいですね。」



占いのスキルはもちろんのこと、人生経験、コミュニケーションスキル、カウンセリングスキル、セルフメンタルケアスキルまで…、占い師には様々なスキルが必要不可欠なんですね。
満足いく収入を得られている方が少ないと聞いて、意外にもシビアな世界だな~と感じましたが、今回のお話、「占い師になりたい」と考えている人にとっても参考になったのではないでしょうか。
CHAZZ先生、今回は赤裸々にお答えいただきどうもありがとうございました!

〈取材・文=アシロ編集部〉

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本記事はキャリズムを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※キャリズムに掲載される記事は転職エージェントが執筆したものではありません。
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