NG!「ご苦労様です」「ご質問があります」よくある敬語の間違い10選

新年度は新しい生活の始まりです。会社の同僚や上司との出会い、学生時代とはまったく違う生活環境、そして社会人として仕事をする・働くということにワクワクしている人も多いことでしょう。
そうはいっても、社会人生活が始まると新しく身につけなければならないことも多く、大変な思いをしている人も少なくないのでしょうか。
そこで注意してほしいのが敬語です。
社会人として覚えなければならないビジネスマナーはたくさんありますが、言葉遣いがしっかりしているか否かは非常に重要なポイントです。
敬語を正しく使えれば、上司や取引先に一目置かれるかもしれませんよ。
この記事では、新社会人がよくやってしまう敬語の間違い10選を紹介します。
敬語には5種類ある
敬語の間違いを確認する前に、そもそも敬語とは何かについて確認しておきましょう。
敬語とは、特定の人物や話の聞き手・文字の読み手に対して敬意を表す表現で、尊敬語、謙譲語1、謙譲語2、丁寧語、美化語の5種類があります。
ここでは、それぞれの敬語についての内容を確認してみましょう。
尊敬語
尊敬語は、相手や相手の所有するもの、所属するものを立てる表現です。
相手の動作や状態に敬意を表したい場合には、動詞を変化させます。
たとえば、食べる・話すという言葉を尊敬語にしたい場合には、
- 『~れる・られる』にする→食べられる
- 『~される』にする→話される
- 『お~になる』にする→お食べになる
- 『お~なさる』にする→お話なさる
- 『お~くださる』にする→お話くださる
- 『言葉自体を変える』→召し上がる(食べる)・おっしゃる(話す)
といったように表現します。
所有するもの・所属するものを立てたい名詞に『お』『ご』『貴』『御』をつけるか、言葉自体を変化させます。
具体例としては『お考え』『ご家族』『貴社』『御社』『御御足(おみあし/足のこと)』などが挙げられます。
謙譲語1
謙譲語1は、自分の行為をへりくだって表現し、自分の行為の受け手を相対的に高め、敬う表現です。
謙譲語1にするには、自分の動作を以下のように変化させます。
- 『お・ご~する』にする
- 『お・ご~いたす』にする
- 『お・ご~申し上げる』にする
- 『~させていただく』にする
- 『~ていただく』『~していただく』にする
- 『お・ご~願う』にする
- 『お・ご~いただく』にする
- 『お・ご~にあずかる』にする
- 『言葉自体を変化させる』
謙譲語2(丁重語)
謙譲語2は、自分の行為をへりくだり、話の聞き手や文章の読み手を敬う表現です。
謙譲語1と謙譲語2の違いは、謙譲語1が自分の動作の受け手を敬っているのに対し、謙譲語2は話の聞き手を敬うという点にあります。
謙譲語2にするには、動詞・名詞を変化させます。具体例としては以下の通りです。
- いる→おる
- する→いたす
- 言う→申す
- 行く・来る→参る
- 知っている→存じる
- 自社→弊社
- 息子→愚息
丁寧語
丁寧語は、文章の語尾に変化をつけて、話の聞き手や文章の読み手を敬う表現です。
具体的には、語尾に『~です』『~ます』『~でございます』をつけます。
美化語
美化語とは、相手や自分に関係なく名詞を美化して話の聞き手、文章の読み手を敬う表現です。
美化語にするには、名詞に『お』『ご』をつけるか、言葉自体を変化させます。
具体例として、『お天気』『お菓子』『ご飯』『ごほうび』『御味御付(味噌汁のこと)』などが挙げられます。
新社会人は要注意!よくある敬語の間違い10選
敬語をきちんと使い分けることができれば、上司からの評価にもつながりやすいでしょう。反対に間違った敬語を使っていた場合、同じ会社の人だけでなく取引先の信頼をもなくしてしまうかもしれません。
途中まで順調に話が進んでいた営業が、敬語の間違いで契約に至らなかった…。なんてことにもなりかねません。
ここでは、新社会人の人がよくやってしまう敬語の間違い10選を紹介します。
おっしゃられる|正解:おっしゃる
おっしゃる、過去の場合であれば、おっしゃった、が正しい敬語です。
おっしゃられるは『二重敬語』と呼ばれる間違いです。
ある動作を尊敬語にする場合、いろいろな方法があることは紹介しましたが、それを同時に二つ以上使用する敬語は間違いだとされています。
この場合であると、『言う』という動詞の敬語である『おっしゃる』と『~れる・られる』を同時に使用しているので、『おっしゃられる』は二重敬語になり、間違った敬語なのです。
伺わせていただく|正解:伺う
伺う、が正しい敬語です。
こちらも上記と同じ『二重敬語』。『行く』の言葉を変化させた謙譲語『伺う』に、別の謙譲表現である『~ていただく』を同時に使用しています。
同じような間違いに『拝見させていただく』があります。『拝見』『させていただく』が双方謙譲語なので、こちらも二重敬語です。正しくは、拝見するです。
御社様|正解:御社
正しくは御社です。
相手の会社をより丁寧に言いたいときに使ってしまいそうな言葉ですが、間違いです。
御社の一語がすでに相手を敬う尊敬語ですが、その御社に敬意を意味する様をつけるのは正しい敬語ではありません。
なお、同じような間違いとして、社長様、部長殿などが挙げられます。社長、部長も単語としては役職しか表しませんが、その中に尊敬の意が込められています。そのため、役職などに様・殿をつけるのも間違いです。
わが社|正解:弊社
わが社は、自分が所属する会社に対してプライドを持った表現になり、主に社内の会議などで使用します。
取引先の人に対して自社のことを言いたいときには、わが社を使わず、弊社を使用するようにしましょう。
~になります|正解:~です
正しくは、丁寧語の『~です』を使用します。
「お釣りは223円になります。」
「こちら、あしたの会議の資料になります。」
など、普通よく耳にするフレーズですが、これも間違いです。
この表現は尊敬語の『お~になる』を間違って使用している状態で、本来『~になります』という日本語は、物事が移り変わることをあらわす言葉です。
「お釣りは223円です」
「こちら、明日の会議の資料です」
とするのが正しい敬語です。
よろしかったでしょうか|正解:よろしいでしょうか
よろしいでしょうかが正しい表現です。
こちらもよく飲食店などで聞く言葉ですが、間違った敬語です。現在のことについて言及しているにもかかわらず、過去の表現を使用してしまっています。
ご教授いただく|正解:ご教示いただく
正しくはご教示いただくです。
何かを教えてもらう、指導してもらうときによく間違われる謙譲語の表現です。
先生を意味する教授と、教え示すことを意味する教示の字が似ているために、言葉自体を勘違いしています。
ご質問があります|正解:質問があります
質問がありますが正しい表現です。
自分の所有するもの、所属するものに『ご』や『お』をつけるのは、謙譲語にも美化語にもなりません。
このフレーズは自分が質問する場合に使われますので、質問は自分の所有するものに該当します。
ただし、相手の質問に返答する場合には、「ご質問にお答えします」でかまいません。この場合、相手の所有するものである『質問』に『ご』をつけているので、尊敬語に該当します。
ご苦労様です|正解:お疲れ様です
お疲れ様ですと言うようにしましょう。
『ご苦労様です』は目上の人が目下の人に向かって言う言葉とされています。そのため、同僚だけでなく上司やお客様、取引先の人に言うのには適していません。
了解しました|正解:承知しました
この言葉は判断が分かれますが、相手に対する敬意を含まないと判断されることが一般的です。もし、了解したことを上司など目上の人に伝えたい場合は『承知しました』と言うようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
間違った敬語の中に、皆さんがよく聞く言葉もあったかもしれません。正しいと思っていた使い方が、実は間違った敬語である可能性も考えられます。
言葉遣いは、あいさつ・身だしなみと同様、社会人として仕事をしていく上で最も重要なポイントの一つです。
今一度、ご自身が使っている言葉が間違っていないか、ビジネスマナー本などで確認しておきましょう。

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